本当に大事なモノ、本当に大切なヒトは、あること・いることだけでいい|谷川俊太郎の詩より

私は谷川俊太郎さんの詩が大好きです。
子供の頃からすごく影響を受けてきました。
今なお、数多くの素晴らしい詩を書き続けられています。
そんな谷川さんの詩で出版されていない未発表の詩があります。
その詩には、「整理」に通じる「大切にする」ことの意味を教えてくれています。
モノや人を「大切にする」ことって、難しいことじゃない。
いたってシンプルなことなんです。
皆さまにもご紹介させていただきます。
スッキリ・キレイ整活(整理・掃除・洗濯・防虫)講師の整理ist 佐藤亮介
「宝だから」 谷川俊太郎
ほんとに大事なものはあるだけでいい
ほんとに大切なヒトはいるだけでいい
何でも誰でもあることいることで始まっている
朝 空がある 曇っていても晴れていても
昼 友だちがいる 気が合っても合わなくても
夜 働く人がいる 君が夢を見ている間に
たまには人間やめてもいいんじゃないか
キノコになって森にいてみる
クラゲになって海にいてみる
コトバになって意味やめてみる
声になってアンナプルナを呼んでみる
自分にもどってぼんやりしてみる
生きていれば毎日毎時が宝だから
目も耳も口も鼻も手足も忙しい
シニカルな大爆笑も宝石みたいに輝いて
私はこの未発表の詩に
「本当に大事なモノ、本当に大切なヒトは、あること・いることだけでいい」
ただ、それだけでいいと改めて教えていただいた気がします。
だけど、今の私たちはモノが溢れ、モノに埋もれてしまっています。
本当に大事なモノが何なのかが分からなくなっています。
それと同じように、本当に大切な人の存在を忘れています。
本当に大事なモノや本当に大切な人は、すぐ傍にあったり、いるのに。
本当に大事なモノは少なくていいんです。
って云うか、少ないはずです。
本当に大切な人は一人のはずです。
あなたの心の中にその人はいるはずです。
いろいろなモノを沢山持っていることが、豊かさや幸せではありませんよね。
まだ足りない、まだ欲しい
もっといいモノはないか
もっといい人はいないか
そうやって増やそうとする飢えの心は豊かでも幸せでもありません。
本当に大事なモノや大切な人は、なくして初めて気がつくものと云うけれど。
それって生きている中で一番つらくて悲しいことです。
悔やんでも悔やみきれないことです。
せっかく傍に居てくれたのに。
なくさないために、
失わないために、
あなたの本当に大事なモノ
あなたの本当に大切な人は
何なのか?
誰なのか?
キノコやクラゲのようにシンプルな心で見つめてみませんか?
その時、もう一度この谷川さんの詩を読んでみてください。
あなたの心の奥底に、そこにある言葉のひとつひとつがもっともっと深く落ちていくはずです。
音ってね
人と音の出会いって いつなんだろう
棒切れで地面や石を叩いてみたんだろうか
足を踏み鳴らしてみたんだろうか
人と声の始まりって いつなんだろう
遠くの仲間に大声で合図をおくったんだろうか
獲物に気づかれないように鳴きまねをしたんだろうか
恋を告げる手段だったんだろうか
スマホの着信音や操作音
電車やデパートのアナウンス音
パソコンが立ち上がる時の音
コマーシャルで流れるBGMの音
炊飯器やルンバからのお知らせの音
私たちは日常の音やメロディの中で生きている
だけど いちいちこの音やメロディは誰が作ったんだろうと気にすることはしない
ただ、確かなことは
その音やメロディはつくられた瞬間から目的を持たされている
音やメロディも命を宿している
そして、もうひとつ確かなことは
その音やメロディをつくった人がいるってこと
だけど いちいちその音やメロディは誰が作ったんだろうと気にすることはしない
それでいい
それで充分なんだ
音やメロディは いつもあなたの傍にあって 傍にいるものだから
あなたのために生きているモノだからね。
谷川さんの詩へのアンサーポエムです。
谷川さんは常におっしゃっています。
詩は読む人の自由な解釈でいいと。
答えがひとつあるわけじゃないと。
キノコやクラゲのようになって
シンプルで自由な気持ちで、いろいろなモノやモノゴトに向き合ってみませんか?